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大阪地方裁判所 昭和56年(行ウ)80号 判決 1983年3月24日

高知県安芸郡東洋町河内二四番五七号

原告

小松こと

山崎敏恵

訴訟代理人弁護士

花村哲男

大阪府八尾市本町二丁目二番三号

被告

八尾税務署長

山田俊郎

指定代理人検事

高須要子

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求める裁判

一  原告

被告が、原告に対し、昭和五五年七月一日付でした、被相続人小松一之輔の相続に関する相続税の更正処分及びこれに伴う無申告加算税の賦課決定処分を取り消す。

訴訟費用は、被告の負担とする。

との判決。

二  被告

主文と同旨の判決。

第二当事者の主張

一  本件請求の原因事実

(一)  被告は、原告に対し、昭和五四年一二月二七日付で、被相続人訴外亡小松一之輔(以下訴外人という)に関する原告の相続税の決定処分及びこれに伴う無申告加算税の賦課決定処分をした。その内容は、別表一の(二)欄の<13>ないし<21>のとおりである。

(二)  原告は、昭和五五年二月一六日、被告に対し、右各処分に対する異議申立をしたが、被告は、同年七月一日、右異議申立を棄却する旨の決定をした。

(三)  ところが、被告は、原告に対し、同日付で、課税価額を金一、二六七万七、〇〇〇円、納付すべき相続税額を金四一八万〇、四〇〇円と更正する(以下本件更正処分という)とともに、これに伴う無申告加算税として金四一万七、九〇〇円(先の無申告加算税額金二二万五、八〇〇円に金一九万二、一〇〇円を追加する趣旨)の賦課決定をし(以下本件賦課決定処分という)、同日ころ原告に通知した。本件更正処分の内容は、別表一の(五)欄の<13>ないし<20>のとおりである。

(四)  原告は、同月二三日、国税不服審判所長に対し、前記(二)の異議申立棄却決定を経た前記(一)の各処分について審査請求の申立をするとともに、同年八月九日、被告に対し、本件更正処分及び本件賦課決定処分につき異議申立をした。

被告は、同月二六日、国税不服審判所長に対し、国税通則法九〇条一項に基づき、本件更正処分及び本件賦課決定処分の異議申立書等を送付し、その旨原告に通知した。これにより、本件更正処分及び本件賦課決定処分についても審査請求がなされたものとみなされた(同条三項)。

同所長は、昭和五六年七月二四日、右各審査請求及び各みなす審査請求を棄却する旨の裁決をし、右裁決書謄本は、同年八月五日ころ、原告に送達された。

(五)  しかし、原告には、訴外人の相続に関する相続税を納付すべき義務はないから、本件更正処分及び本件賦課決定処分は、違法である。

(六)  結論

原告は、被告に対し、本件更正処分及び本件賦課決定処分の各取消しを求める。

二  被告の答弁

(一)  本件請求の原因事実(一)ないし(四)の各事実は、認める。

(二)  同(五)の主張は、争う。

三  被告の主張

(一)  訴外人は、昭和五三年三月二四日死亡したが、その法定相続人は、訴外人の長女訴外中田美子一人である。

(二)  訴外人は、右死亡の時点で、別表三の順号1ないし71のとおりの各財産を所有し、順号75ないし77の各佐務を負っていた。

(三)  原告は、訴外人から、次のとおり、死因贈与(1の場合)及び生前贈与(2の場合)により、財産を取得した。その価額は、別表一の(九)欄の<13>、<14>のとおりである。

1 右<13>の「取得した財産の価額」金一、〇六八万〇、〇三九円の内訳

(ア) 訴外人は、原告に対し、昭和五二年三月一〇日付書面で、別表三の順号5の土地(以下本件土地という)、同表の順号8の建物(以下本件建物といい、本件土地と本件建物とを本件不動産という)及び金八〇〇万円を死因贈与した。

(イ) 本件土地の価格は、金六九万五、九三三円(相続税財産評価に関する基本通達に基づく評価額-昭和五三年固定資産税評価額金四七万四、五〇〇円×二・二×持分三分の二)であり、本件建物の価格は、金一九八万四、一〇六円(同基本通達に基づく評価額-昭和五三年固定資産税評価額金一九八万四、一〇六×一・〇)である。

(ウ) 原告は、昭和五六年七月一一日までに、中田美子から、前記(ア)の死因贈与による金八〇〇万円の履行を受けた。すなわち、

原告は、昭和五六年七月四日、中田美子と原告との間の大阪地方裁判所昭和五五年(ワ)第四一一号、同年(ワ)第一、二五〇号事件で訴訟上の和解をし、それに基づいて別表二の1ないし4及び6ないし10の各預貯金を、既に訴外人の死亡後、事実上管理していたので、右和解によってこれを取得したことになり、更に、昭和五六年七月一一日、同表の1ないし4の各預貯金を、中田美子から現金で受領した。

原告は、このようにして、訴外人の死後、その遺産から合計金一、〇八一万〇、一〇六円を取得したが、このうち金八〇〇万円は、前記(ア)の死因贈与の履行として受領したものである。

2 右<14>の「同年中の贈与額」金七三五万の内訳

訴外人は、原告に対し、昭和五三年三月二日、金六七〇万円を、同月一六日金六五万円を、各贈与し、原告は、右各金員を受領した。

(四)  前記(二)、(三)の各事実をもとに、原告の納付すべき相続税額を計算すると、別表一の(九)欄のとおりとなる。

(五)  原告は、法定申告期限内に、納税地の所轄税務署長である被告に対し、相続税の申告をしなかった。

(六)  まとめ

被告の主張の範囲内でされた本件更正処分及び本件賦課決定処分は、いずれも適法である。

四  被告の主張に対する原告の認否

(一)  被告の主張(一)の事実は、認める。

(二)  同(二)の事実中、別表(三)の順号61ないし69の未収利息の計算過程は認めるが、その余は不知。

(三)  同(三)の1の(ア)の事実中、原告が、訴外人から、昭和五二年三月一〇日付書面によって、金八〇〇万円の死因贈与を受ける旨約束したことは認めるが、その余の事実は、否認する。原告は、訴外人から、本件不動産の死因贈与を受けたことはない。

原告は、訴外人から、昭和三九年ころ、本件不動産の生前贈与を受けた。したがって、本件不動産の価格は、相続税法(以下法という)一九条によって、加算すべき贈与の額に当たらない。

(四)  同(三)の1の(イ)の事実は、不知。

(五)  同(三)の1の(ウ)の事実は、否認する。別表二の1ないし4の各預貯金は、もともと訴外人の所有ではなく、原告の所有である。同表の6ないし10の各預貯金は、原告が、訴外人から、内縁関係の清算として、財産分与又は寄与分に準ずるものとして受領したものである。

(六)  同(三)の2の事実中、原告が、訴外人から、昭和五三年三月二日金六七〇万円を、同月一六日金六五万円を各受領したことは認めるが、その余の事実は、否認する。右各金員は、原告と訴外人の内縁関係の清算として、原告が、訴外人から受領したものである。

(七)  同(四)の額は、争う。

(八)  同(五)の事実は、認める。

五  被告の主張に対する原告の反論

原告は、昭和三七年六月ころ、大阪府柏原市の訴外人所有の家屋で訴外人と同居するようになり、以後、昭和五三年三月二四日訴外人が病没するまで、一六年間、訴外人と内縁関係にあった。その間、原告は、家事をするかたわら、訴外人が経営する訴外安中住宅株式会社の経理等を無報酬で手伝った。したがって、訴外人の財産は、原告の寄与によって蓄積された。

そこで、原告が、訴外人の死亡の前後に亘って、訴外人から或いはその遺産から取得した財産に対する相続税の課税には、財産分与、或いは、寄与分に準じるか、若しくは、配偶者控除の規定の類推適用があるべきである。

第三証拠

本件記録中の、証拠関係欄記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  本件請求の原因事実中、(一)ないし(四)の各事実、被告の主張(一)の事実は、いずれも当事者間に争いがない。

二  被告の主張(二)のうち別表(三)の順号61なしい69の未収利息の計算過程については当事者間に争いがなく、右争いがない事実と、成立に争いがない甲第一〇号証、同第一六号証、乙第二二ないし第二七号証、弁論の全趣旨によって成立が認められる甲第一号証の一二及び弁論の全趣旨によると、被告の主張(二)のうち、別表三の順号5及び8を除くその余の事実(財産合計額金九、三七五万六、七六〇円、債務合計額金三〇〇万九、七六五円)が認めれられ、これに反する証拠はない。

別表三の順号5及び8の財産(本件不動産)についての判断は暫く措く。

三  被告の主張(三)について

(一)  被告の主張(三)の事実中、原告が、訴外人から、昭和五二年三月一〇日付書面によって、金八〇〇万円の死因贈与を受ける旨約束したこと、原告が、訴外人から、昭和五三年三月二日金六七〇万円を、同月一六日金六五万円を各受領したこと、以上の事実は、当事者間に争いがない。

(二)  前記二の認定事実、右(一)の争いがない事実、前掲甲第一号証の一二、成立に争いがない甲第一号証の一、二、同号証の七ないし一一、同第二ないし第六号証、同第八ないし第一六号証、乙第六ないし第一三号証、同一四号証の一、二、同第一五ないし第一九号証、原告本人尋問の結果によって成立が認められる甲第七号証、原告本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によると、次の事実が認められ、この認定に反する証拠がない。

1  訴外人の法定相続人は、中田美子(大正一三年三月二〇日生、昭和九年七月四日庶子準正 旧民法八三六条一項参照)一人である。

2  訴外人は、昭和一八年七月三〇日、訴外亡星子繁と婚姻したが、昭和二七年ころ、仲居をしていた原告と知り合い、以後情交関係を継続するようになった。

3  訴外人は、昭和三五年五月一三日、妻小松繁と死別したが、昭和三七年六月ころから、大阪府柏原市所在のその所有家屋で原告と同棲し、原告は、内縁の妻の地位を取得した。

訴外人は、安中住宅株式会社を設立して不動産の賃貸業を営んでいたが、原告は、家事に従事するかたわら、同会社の営業の手伝いをしていた。しかし、定職について収入を得たことはなかった。

4  訴外人は、原告を妻として入籍しなかったが、自己が死亡した後、その遺産の一部を原告に分け与えようと考えた。そして、訴外人は、数度に亘って、自己の財産を原告に贈与或いは死因贈与する旨を記載した「誓約書」等と題する書面(甲第二ないし第七号証)を作成した。

5  このようにして、訴外人は、昭和五二年三月一〇日ころ、原告に対し、同日付書面(甲第一号証の一一)によって、最終的に、金八〇〇万円を死因贈与する旨原告と約束した。

6  訴外人は、昭和五三年三月二日、訴外近畿大学附属病院に入院中、肺癌のため臨終が間近かに迫ったとき、原告に命じて原告名義及び訴外人名義で訴外人が所有していた訴外敷島紡績株式会社他八社の上場株式を、訴外中野証券株式会社を通じて、売却させ、右売却代金九七〇万円のうち、金三〇〇万円を原告名義で、金三〇〇万円を中田美子名義で、それぞれ柏原市の国分郵便局の定額貯金に入金させ、残金三七〇万円を同病院に持参させた上、原告に対し、「大事にしなさいよ」といって、同病院に赴いた訴外住友銀行の係員を通じて、原告名義の同銀行の定期預金にさせた(なお、右預金は、その後原告が解約して引き出した)。

7  訴外人は、同じく、原告に命じて、原告名義及び訴外人名義の訴外東京芝浦電気株式会社他二社の上場株式を、中野証券株式会社を通じて売却させ、同月一六日、同社の係員が、右売却代金一三五万円を前記近大病院に持参した際、訴外人は その場で原告に金六五万円、中田美子に金七〇万円をそれぞれ交付した。

8  訴外人は、同月二四日、右近大病院で死亡した。

9  その後、原告と中田美子との間で、訴外人の遺産をめぐって裁判上の争い(当庁昭和五五年(ワ)第四一一号、同年(ワ)第一、二五〇号事件)になり、昭和五六年七月四日、裁判上の和解が成立した。

中田美子は、この和解で、別表二の番号1ないし4及び6ないし10の各預貯金が、原告の所有に属することを確認した。

これによって、原告は、訴外人の遺産の中から、同表の6ないし10の各預貯金合計金五三二万七、九〇六円を取得し、更に同月一一日、中田美子から、同表の1ないし4の各預金合計額金五四八万二、二〇〇円の支払を受けた。右各金員のうち、金八〇〇万円は、前記5の金八〇〇万円の死因贈与の履行であった。

(三)  右認定事実から、次のことが結論づけられる。

原告は、訴外人から、金八〇〇万円の死因贈与を受ける旨訴外人と約束し(その際、本件不動産も死因贈与を受けたのか、それとも、本件不動産は、原告主張のように、既に昭和三九年ころ、原告が訴外人から贈与を受けたのかの点については、暫く措く)、結局、訴外人の遺産の中から、その履行を受けたが、このほかに、昭和五三年三月二日金六七〇万円の、同月一六日金六七万円の各金員を受領して各贈与を受けたことに帰着する。

原告は、右金六七〇万円、金六五万円を受領したのは、原告と訴外人間の内縁関係の清算、すなわち、財産分与、又は原告の寄与分に準ずるものとして受領した旨主張する。

しかし、財産分与は、夫婦が婚姻関係を生前に解消しようとするときに、その清算を目的として行われるものであるから、正式な婚姻関係にあったこと及びそれが生前に解消されることが要件になる(生前に解消されない場合は相続によって処理される)。

ところが、原告と訴外人とは正式の婚姻関係にはなかったものであり、そして、内縁関係が生前に解消したものではないから、財産分与を考慮する余地がない。もっとも、私法上内縁関係の解消の際に財産分与に準じた取扱いをする事例がないわけではないが、その場合でも、内縁関係が生前に解消された場合に限られるのであって、内縁関係を継続しながら財産分与の取扱いをすることは許されない。

また、相続での寄与分の問題は、被相続人の財産の維持又は増加につき特別の寄与をした者に法定相続分以上の相続分を加算するというものであって、寄与分についても相続税を算出する場合の課税価額の中に含まれるから、寄与分の認められる相続人が相続税の課税の際に有利に取り扱われる関係にはない。

したがって、寄与分に準じて取り扱うべきであるとの原告の主張は、それ自体失当である。

そして、原告の右主張が、いわゆる寄与分の主張ではなく、遺産の対象にすべきでないとの趣旨であるとしても、法一九条は、「当該相続の開始前三年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては-----、当該贈与により取得した財産-----の価額を相続税の課税価格とみなす」、と規定しており、本来的に遺産でないものを、税法上は、特別にこれと同視する扱いをしているのであるから、原告の右主張は、相続開始前三年以内の贈与につきこの規定の適用を除外すべき理由づけとなるものではない。

そして、事実に即して本件を検討すると、前記(二)の事実からみて、訴外人が、右各金員を、訴外人の仕事及び家庭に対する原告の貢献に感謝する趣旨で原告に譲渡したものであるとしても、それは、単に、法律行為の動機にすぎないものであって、訴外人が、原告との間で、法律上の対価なくして、右各金員を原告に譲渡する旨黙示的に合意したことに変わりはないというべきである。

結局、右合意に基づく金員の交付は、法一九条所定の「贈与により財産を取得した」に該当するとしなければならない。

そこで、原告の右主張は、採用しない。

(四)  また、原告は、内縁の配偶者から死因贈与を受けた者に対する相続税の課税に当っては、財産分与、或いは寄与分をとり入れ、又は、配偶者が相続する場合の配偶者控除の規定の適用があるべきであると主張するが、これを容れるべき法律上の根拠はどこにもないから、原告のこの主張は、失当である。

四  原告の納付すべき相続税額

(一)  本件不動産の贈与の時期について争いがあるが、仮に原告が、その主張するように、昭和三九年ころ訴外人から本件不動産の贈与を受けたとすると、本件不動産が訴外人の遺産に含まれることはないからこれを除外して、前記認定の事実に基づいて原告の納付すべき相続税額を算定すると、金五一四万五、二〇〇円(別表四の<20>)になる。その計算方法は、次のとおりである。

1  同表の<1>の「取得した財産の価額」は、訴外人の遺産金九、三七五万六、七六〇円に原告が死因贈与により取得する金八〇〇万円を加えた金額である。

2  同表の<2>の「債務控除額」は、訴外人の前記認定債務金三〇〇万九、七六五円に死因贈与の義務金八〇〇万円を加えた金額である。

3  同表の<13>の「取得した財産の価額」は、原告が死因贈与により取得した金八〇〇万円であり、本件不動産の死因贈与による分が除外されている。

4  同表の<14>の「同年中の贈与額」は、前記認定の贈与金六七〇万円と同金六五五万円を加算した金額であり、同表の<15>の「上記以外」に該当する贈与はない。

5  同表の<3>ないし<12>、<16>ないし<19>の各金額は、いずれも同表の備考欄の算定によって算出される。

6  まとめ

原告が納付すべき相続税額は、同表の<17>の金四二八万七、六八〇円と同表の<18>の金八五万七、五三六円を加え、同表の<19>の金額(〇円)を控除して算出した金五一四万五、二〇〇円である。

(二)  ところで、原告が本件不動産を死因贈与によって取得したものだとすると、別表四の<1>欄と<13>欄の金額は、それぞれ本件不動産の評価額分だけ増額することになるが、この場合、前掲各証拠によって認定されたその余の金額と前記算式(別表備考欄)によって原告の納付すべき相続税額を算出すると、増額になっても減額になることはない(本件不動産の評価額が被告の主張するように金二六八万〇、〇三九円だとすると、原告の納付すべき相続税額は別表一の(九)欄の<20>のように金六〇七万七、七〇〇円が算出される)。

(三)  そして、本件不動産が原告に贈与されたこと(すなわち訴外人の遺産になるものではないこと)は、時期の点を除き当事者間に争いがないから(前掲各証拠によっても認められる)、贈与の時期が相続開始前三年以内であってもなくても、また、その評価額がいくらであっても、原告の納付すべき相続税額が金五一四万五、二〇〇円を下ることはない。

(四)  なお、本件不動産が訴外人の遺産になり、中田美子がこれを相続する場合でも、原告の納付すべき相続税額が金五一四万五、二〇〇円を下ることはない。

五  本件更正処分の適法性

したがって、右納付すべき相続税額五一四万五、二〇〇円の範囲内でされた本件更正処分は、本件不動産の贈与の時期について判断するまでもなく、適法である。

六  本件賦課決定処分について

原告は、法定申告期限内に、納税地の所轄税務署長である被告に対し、相続税の申告をしなかったことは、当事者間に争いがない。しかし、原告が、右申告をしなかったことにつき、正当な理由を窺わせる事情は認められない。

そうすると、原告には、国税通則法六六条一項に従い、無申告加算税が課せられるべきであり、その額は別表四の<21>欄の金額を下ることはない。

したがって、本件賦課決定処分は、適法である。

七  むすび

被告のした本件更正処分及び本件賦課決定処分は、正当であるから、その取消しを求める原告の本件請求は、失当として棄却を免れない。そこで、行訴法七条、民訴法八九条に従い、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 古崎慶長 裁判官 孕石孟則 裁判官 八木良一)

別表一

課税経過表

<省略>

別表二

和解調書による財産の最終帰属(昭和56年7月4日和解)

<省略>

<省略>

別表三

相続財産の内訳

<省略>

<省略>

別表四

<省略>

※印は被告主張額と同じ

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